宮本教授の研究歴(想い出と共に)

東京理科大学理学部応用物理学科の卒業研究(葛西研究室所属)は電気試験所(現、電子技術総合研究所)にて界面物理、特に超高真空中での「金属とガスとの吸着」に関する研究を同試験所の杉田先生(現、東京理科大学工学部U部電気工学科教授)と川崎先生(元、東京理科大学理工学部物理学科教授)のご指導で行った。これが研究の事始めですが、先生方の他にも同試験所の林さん、大西さんや海老沢さんに大変お世話をお掛けしたことを、今、思い出します。

東京理科大学を卒業と同時に、同大学理工学部機械工学科に奉職する。まだ、創立2年目で機械工学実験の準備や実施で忙しかったが、研究ができないので浮田教授のご紹介で、電子技術総合研究所のバイオニクス研究室でロボットの眼に関する研究を行い、始めての論文を電子技術総合研究所彙報に発表した。同研究室では辻研究室長(元、大阪大学教授)、白井さん(現、大阪大学教授)、田村さん(現、電子技術総合研究所所長)、大島さん(現、東京水産大学教授)や諏訪さん(電子技術総合研究所部長)にはご指導頂くとともに、大変お世話になりました。

昭和47年には谷口紀男先生が理化学研究所よりお見えになり、先生の助手を務めることになりました。実験装置が何もないので、機械的なパ−ツフィ−ダ(部品供給装置)、振動式パ−ツフィ−ダ、空気式パ−ツフィ−ダ等の研究を始めました。2年ほどで研究成果が上がりましたが、学会誌に投稿する前に技術誌(自動機械)に発表してしまい、学会誌へ投稿できなくなり、悔しい思いをしました。また、先生は高周波スパッタ加工装置を東芝生産技術研究所より寄付して頂いたので、東京理科大学工学部機械工学科を卒業し、理工学研究科機械工学専攻修士に入学した吉本成香君(現、東京理科大学工学部機械工学科教授)と共に鋼のイオンスパッタ加工に関する研究も開始しました。吉本君が色々と工夫をして、成果があがり、2年後にCIRPに吉本君、谷口先生と小生の3人の連名で論文を発表することが出来ました。

振動式パ−ツフィ−ダに付いては魚住潤君(現在、松下電子部品)と2階式のものを開発し、アナコンを用いたシミュレ−ションと実験を行い、その研究成果は魚住君がインドでのICPEで発表しました。この時の発表の途中でスライド映写機が壊れたにも拘わらず、魚住君が堂々と発表したことが語り種に残っています。

時間が出来れば続けて書きます。