音響信号処理

音響信号処理は、私たちが普段耳にしている音から、耳に聴こえない超音波まで広範囲な周波数領域の音を扱う分野であり、様々なオーディオ機器や携帯電話など現代社会においてなくてはならない技術となっています。本研究室では、ハウリング抑制や音高推定の研究をしています。

ハウリング抑制

コンサート会場や会議室でマイクを使用する際に、「キーン」という不快な音を聞いたことがあるかもしれません。この現象はハウリングといい、マイクに入力された音がスピーカから出力された後に再度マイクに入力されることで発生します。ハウリングは聴衆に不快な思いをさせるだけでなく、音響機器の破損の原因ともなるため、その抑制は重要な課題となっています。この課題解決のために本研究室では音響信号処理を用いて、様々なシチュエーションで発生するハウリング抑制の抑制を試みています。

図1. ハウリング抑制前後の音声のスペクトログラム

音高推定

オーディオ信号を楽譜に変換するタスクを自動採譜と呼びます。音高推定はこの自動採譜において複数の音が同時になっている場合に重要なタスクです。現在主流の非負行列因子分解やニューラルネットワークは、事前に辞書の作成や学習を必要としています。しかしこれらの手法では他の楽器に適用する場合、データ不足や元のデータの過学習などにより正確性が落ちます。この課題解決のために本研究室では古典的な手法に着目し、事前の学習や調整が不要な手法として、楽器固有の情報を排除しつつ音高を推定するフィルタやモデルを研究しています。

図2. 音高推定による自動採譜のイメージ