新着情報

研究紹介

常盤研究室では,物質の電子やイオンの機能を活かせる機能性材料として「超伝導材料」,「リチウム二次電池材料」,「放射線計測用半導体材料」を中心に物質開発と評価を行っています.

研究紹介①  超伝導材料 (Superconductor)

超伝導体は,臨界温度(Tc)以下の温度で電気抵抗がゼロになるなどの特徴があります.当研究室では,特に銅酸化物超伝導体(HTCS)に注目しています.HTCSは,超伝導を担うCuO2面を共通して持つ物質の仲間です.発見以来35年程度が経過しましたが,その高いTcに対する興味と共に,超伝導発現機構の解明は現在でも物理学の重要な課題の一つとなっています. 私たちは,銅酸化物超伝導体の中でも単位格子に3枚以上のCuO2面を持つ多層型超伝導体に注目しています.これまでの研究から,多層型超伝導体の内側にあるCuO2面は理想的にきれいな状態にあり,いままで見ることが難しかったHTCSの電子状態の本質的な姿を見せてくれることがわかってきました.

研究紹介②  リチウムイオン電池材料 (Lithium Ion Battery)

リチウム二次電池は,充電して繰り返し利用可能なバッテリーで,エネルギー密度が高く,モバイル機器からより大型の機器へ用途が広がっています.特に,環境問題への対応から普及が加速している電気自動車へ搭載される電池の性能向上が大きな課題となっています.電池の性能を左右する鍵の一つが正極材料です.当研究室では,高温高圧技術を利用して,高容量・高エネルギー密度で安全性の高い新規物質の探索を行っています. これまでにCaFe2O4型LiMn2O4や,Marinite型Li3M(PO4)2 (M = V, Cr, Fe)などの作製に成功しています.CaFe2O4型LiMn2O4やLi3V(PO4)2は,正極材料として比較的良好な電気化学特性を示すことがわかりました.

研究紹介③  放射線検出用半導体材料 (Semiconductor for Radiation Detector)

ガンマ線やX線は,天文物理学,医療,非破壊検査など多様な分野で利用されています.放射線量を正確に測定するためには,信頼性の高い半導体材料の開発が求められています.当研究室では,TlBrに着目し,単結晶試料の合成に取り組んでいます.TlBrは原子番号の大きな元素(Tl : 81番,Br : 35番)からできているため,放射線を捕捉する能力が高く,またバンドギャップが2.68eVあり室温動作する材料として期待されています. 溌液化の技術や組成の最適化を図り,良質な結晶の作製を目指しています.

連絡先

〒125-8585 東京都葛飾区新宿6-3-1
研究棟10階 常盤研究室

■JR常磐線各駅停車(東京メトロ千代田線直通)「金町」駅/京成金町線「京成金町」駅下車,徒歩8分